アートNPOこみねっと

代表者 坂牧 修
所在地 京都府宇治市伊勢田町若林53
連絡先 0774-46-1699
Email kominet09@kcn.jp
HPアドレス  
活動内容 栄養・食生活 / 普及啓発活動 / 食育に関すること
業  態 非営利法人
演劇上映や動画作成、学校でのワークショップ授業などの業務を主として行っているアートNPOです。 食育に関しては、宇治茶や京野菜の普及を目的とした授業を、20校以上の小学校で行っています。

イベント

やましろ演劇園芸フェスティバル2020/06/10

Interview

 

 

【団体紹介】

 演劇、動画×食育? どんなインタビューをしたらいいのかと、頭を悩ませながら伺ったアートNPO法人「こみねっと」の事務所。お話しを聞かせてくれた理事の大橋敏裕さんは、元学校の先生であり、「こみねっと」では役者、脚本家、演出家、事業の企画立案を行っています。
 現在「こみねっと」は、食育に関連する事業として、学校で宇治茶をテーマにした演劇ワークショップを行っています。「山城のたから授業」として、自然遺産、歴史遺産、学研都市、京野菜、宇治茶といった「山城地域のたから」についてアトラクション形式で学ぶ授業を実施。また、動画でお茶のいれ方を学ぶ「宇治茶いれたて劇場」を配信しているほか、「キッズ茶ムリエ検定」を京都府から受託運営するなど、世界遺産を目指す宇治茶の魅力を伝えています。
 宇治茶の魅力を伝えることなら、これまでお茶屋さんもやり尽くしてきたことでしょう。けれど「こみねっと」は、そこに「演劇」というエッセンスを加え見る側の意識を変えていきます。 
 宇治で暮らす人たちにとって、宇治茶のある生活は日常です。行事でお茶席の接待があることもさほど珍しくなく、「ふつうに美味しい」お茶を日常的に飲むことができます。そうした人々に宇治茶の魅力を改めて伝えるとき、見方が変わるような仕掛けをするのが、大橋さんたちの仕事です。
 例えば、2019年夏に行った「宇治茶劇」では、江戸時代のお茶壷道中をテーマに、毎年宇治茶が遠く江戸まで届けられていたことや、かつては宇治の住人でも宇治茶を口にすることはできなかったことなど、宇治茶が800年の歴史の中でその地位を築いた大きな要因のひとつを紹介しました。そして、公演が行われた会場では宇治茶の接待が行われ、歴史を知ってから飲む宇治茶の深い味わいを多くの人が体感しました。
 インタビューの最中にも、大橋さんがお茶を淹れてくださいました。何気なくいただいた一杯目のお茶よりも、宇治茶にまつわる色々なお話を聞きながらいただいた二杯目のお茶が美味しかったのは、本当に不思議な体験でした。

 

【インタビュー】

 演劇などを通じて子どもたちに宇治茶や京野菜のすばらしさを伝えている「アートNPOこみねっと」の大橋敏裕理事と、様々な方法で宇治固有の価値をアピールしている「ちはやぶる宇治の未来をつくる会」の森田誠二代表。アライアンスメンバーの中でも情報発信という特徴的な役割を担う2人に語り合ってもらいました。

 ――大橋さんは小学校の先生をやってらしたそうですが、子どもを対象にした情報伝達にはその経験が生きているのですか?   

 大橋 先生にもいろいろなタイプがいて、幸い私はどちらかというと子どもと話ができるほうだったので、今の活動にはそれが生かせていると思います。子どもの場合は特にそうですが、大人が相手でも、やはりコミュニケーションを取るときには相手がどれぐらいの理解力であるか、こっちが心得ていないと、やりとりのいいキャッチボールできないですよね。それを子供の前でやるわけで、そのへんのところは勘と経験というところで、子どもへの情報伝達ということではうまくできているとは思います。

 ――では情報発信をうまくいっている?

 大橋 いや、私たちがやっている活動を多くの人に知っていただいくという面ではいつも悩みがあります。多くの人にきちんと届いているのかと。いいコンテンツを作るよう努力をしているのですが、それを広める手法がなかなかわからない。
 お茶の業界の人は、比較的良く知ってくれています。やはり、宇治茶のことを子どもたちに教えているからですかね。地道に一人ずつ伝えるのがいいのかな。

 森田 本当に伝えるというのは難しいですよね。そのときに一番大事なのは、伝えたいことがあるということだと思うんです。先生の活動をみていると、子供たちに伝えたいという思いがあるんですよね。

 大橋 やはりきっちりと伝えるには、子どもたちの感動がなければならない。

 森田 そう共感ですよね。

 大橋 子供たちがすごく楽しめるような、知ってうれしいというようなものがないとだめだと思います。

 ――「ちはやぶる」さんは対象を限定せず、いろいろな手法で宇治の価値をアピールされていますね

 森田 一昨年はいろいろなイベントをやりましたね。実は、同志社大の大学院で街づくりの研究をやっていまして、その社会実験の一環だったんです。

 大橋 映画製作もやってはるんですよね。

 森田 そうなんですよ。一昨年の12月に記者会見しまして…。これまでは宇治の持ってる価値を多くの人に伝えようと、イベントとかいろいろとやっていたんですよ。ただ、イベントでは伝える力が限定的なので、年代も国境も乗り越えるには、映画というのはとてもいいコンテンツなのかなあと思って。
ただ、事情があって今は少し止まっています。

 大橋 そうですよね。映画を作るとなるといろいろたいへんですよね。

 森田 私が映画で伝えたいと考えているのは、宇治というのは世界に通用する価値があって、それを何とか伝えたい。宇治川自体がそうですよね。琵琶湖から流れ出る唯一の川です。日本海を渡ってくる人が、ルサンチマンをもって琵琶湖を通ってここに来たのではないかと。ここに来たら昔は巨椋池があって、きれいな月や川やたおやかな山があって、季節が来ればたくさんの蓮の花が咲く、ここがパラダイスにみえたのではないでしょうか。
もう1つ、ちはやぶるという和歌の枕詞が神と宇治だけにつくという事実があって、おそらくそういう人たちにとってここは神のいる場所に見えたのではないかと妄想するわけです。

 大橋 莵道稚郎子(うじのわけのいらつこ)の話ですね。

 森田 自己犠牲というか利他の精神、これが世界中にとって必要ではないか。それを発信していけば世界中から人が来て、少しでも明るい未来につながるのではないか。ただこれまでのやり方では限界がある。だから映画作りをしようと思ったんです。

 大橋 一般の人にはその映画作りの情報はどれほど伝わっているんでしょう。

 森田 SNSでの発信と新聞も活用しました。記者会見をして、それが地元紙のほか京都、読売、朝日にも載せてもらって。それを見たという人がけっこう多かったですね。

 大橋 我々も「山城のたから授業」というのををやっていて、最初は記者会見もしたんですが、上演するたびにやるわけにもいかない。
まあ、保護者の方が参観で来られて、そういう意味では一般の人も知ってもらえているとは思いますが…。そういう意味で少しずつ口コミ伝わっているとは思うんですよ。

 ――「こみねっと」さんは宇治茶の素晴らしさをアピールされているそうですね

 大橋 私たちが子供たちや先生にも伝えているのは、宇治茶の作り方なんですよ。手もみというのが独特で、世界にないんです。日本のお茶は色が透明できれいでそのまま飲めるし栄養価も高い。世界の中で希少価値があるが、その価値を知らない人が多い。

 森田 お茶づくりみられるようなそういう丁寧さは必要ですよね。丁寧に作っていくということで、そういうところも伝えていかなければならない。

 大橋 問題なのは、外部の人だけでなく、宇治に住んでいる人たちがその良さを知らないことです。宇治茶のことも、「ちはやぶる」さんがやっている宇治の歴史も同じです。そうした宇治固有の価値をどうやって地域に落としていくかが大きな課題です。

 森田 私は、楽しさの上に乗っけていくことが1つの方法だと思います。それが演劇の手法の中にあるんですよ。

 大橋 そうですね。楽しくしたり、感動させたりするのは、演劇の得意な分野です。

 森田 私は同志社大で教えている学生たちに、宇治の価値をテーマにして動画を撮らせています。作ろうとすると勉強するでしょう。映像作品を作ることは楽しいし。アライアンスで健康づくりや食育について多くの人に伝える時にも、そういう手法を使えるのでないかと思っています。

 大橋 それは面白いですね。私たちも工夫して、さらに多くの子どもたちにアピールするコンテンツを作っていきたいですね。